正直ピアノの先生、長めにつぶやく。

ピアノ講師歴10年。教室ブログには書けない本音を長めにつぶやきます。

どもるはなし言葉とピアノ、歌の力。

つっかえつっかえ話す小学1年生の生徒さんがいる。稀に同じ言葉を繰り返すこともあり軽度の吃音の症状なのかもしれない。
本人は話づらそうにしたり、言葉を発しづらそうということはないので、日常生活には支障はないようだ。

その子はピアノも、話す時と同様につっかえつっかえ弾く。

 

話す時も、ピアノを弾く時も、体を動かそうと思っている意識と、実際の動作がうまく連動していない、という印象を受ける。

 

リズムを手で叩いている時も同様で、うまく体がコントロールできていないように見える。

 

どうしたものか、、、と。
とにかく意識して動けるように
「ゆっくりゆっくり弾こうね」「動かすぞ、と思ってから動かすんだよ。」などと声をかけてきた。

 

「動かそうと思って動かす」というのは結構大事で、大人の方でも弾こうと思う前に指が動いて音を鳴らしている、ということが起きている。

そうすると音は上滑りする。
大人の場合は体を意識して動かすということを、言葉で伝えれば大抵の方は少しずつできるようになるが、

小学1年生には、なかなか難しいらしい。

 

あれこれ声をかけてきたけれど、一番効果があったのが、

歌いながら弾く」ということだった。

 

それまでつっかえながら弾いていて、一定のテンポというものが皆無だったのだが、歌いながら弾くことで、見違えるように音楽的な演奏になった。

 

テンポは一定に進み、歌と連動して指もコントロールされて動いている。

歌に合わせて弾くことで指への意識が薄れるのかと思いきや、そんなことは全くなく、うまく体の動きが統合されているように見える。

見違える演奏に驚いて感動してしまった。

 

歌ってすごい。
「歌う時にはどもらない」というのは吃音当事者のあるあるらしい。

 (↓こちらを参照↓)

どもる体 (シリーズ ケアをひらく)

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ピアノの導入期に歌いながら弾くというプロセスを取っているメソッドは多い。

単に音感をつけることや歌心を持って弾くということだけではなく、身体全体を歌が統合してくれるというような役割もありそうだ。

 

手指に集中するあまり歌を後回しにしてしまうこともあったけれど、歌の持つ力を侮るなかれ。

この1年生の生徒さんに大事なことを教えていただいた。

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