ピアノ経験者の親を持つ生徒さんの難しさ
ピアノ経験者が保護者の生徒さんは、なぜこんなに一筋縄ではいかないのですか。
みなさんどうなんだろう?
うちのピアノ教室で、今のところ一番やめそうな、首の皮一枚でつながっている生徒さんは2人とも親が音大出身です。
その2人の生徒さんはどちらも、レッスン中に目が正気を帯びていない。
表情がほぼない。
いやいややっている感じが滲み出ている。
早く終わらないかな、が滲み出ている。
親にやれて言われているからいやいややっているという感じ。
うーん。
これは生徒さんも辛いし、私も辛い。
これは、いろんなことが原因として考えられます。
- 本人の意思と関係なく親がピアノを始めさせている
- 親の要求が高い
- ピアノ練習への口出しが多い
- クラシックを崇拝していて、本人が好きな曲を認めない
- 自分が習っていた時代と比べてしまう
つまり、生徒さん本人のやる気を奪う行動が詰め込まれている。
本人の意思が入る余地がないのだ。
これは当の親にとってみれば、
「そんなこと言ったって、私たちの時代は先生に言われたものを有無を言わさずにやらされた。
自分の弾きたい曲なんて弾かせてもらえなかった!
甘ったれたこと言ってるんじゃないわよ!」
となることが多いのだけど、言いたいこともよくわかる。
でも、「本人のやる気」というのはかなり繊細なもので、親の態度1つに傷つけられてしまう。
やる気を無くそうなんて思う親はいないと思うけれど、
良かれと思っている行動が、やる気を奪うことにつながっていることがよくあるので、気をつけなければ。
そして、ピアノの先生側にも問題がある。
私について言えば、自分と親の立場が近いので親の思うことがよくわかる。
こういうふうになって欲しいだろうかな、とか、
こういう曲弾いて欲しいだろうな、とか
こういうふうに演奏してくれたら嬉しいだろうな、とか。
そうなるとピアノの先生側も、生徒さんと向き合わず親の方を向いてレッスンしているようなものだ。
そりゃ、生徒さんの目から正気が奪われるのも納得がいく。
親も先生も自分のことを見ているようで、他のものを見ているのだから。
そして限界が来たときに生徒さんが爆発する。
「大人たちいい加減にして!!ピアノを弾いているのは私だ!!」
当然の主張だ。
でも言葉にして自分の思いを主張ができる場合は少なく、たいていの場合、
ピアノ嫌い!親、ムカつく!先生、嫌い!
という反抗的な態度に向かっていく。
そうなる前に、生徒さんの目が生き生きとするのを取り戻すには、
他でもない本人と向き合うしかないですね。
そう気がついてから、どうしても脳裏にチラつく親の思いは意識的にいったん外に置いて、本人の思いを汲み取るようにしています。
少しずつ表情が変わってきたかなと思うこの頃です。