正直ピアノの先生、長めにつぶやく。

ピアノ講師歴10年。教室ブログには書けない本音を長めにつぶやきます。

発表会はピアノの先生のクリエイティブ作品。

先月末、初めてホールでの教室単独の発表会を主催した。

ピアノ教室を開いて数年。これまで数人の先生の合同発表会に参加したり、サロンのようなところで弾きあい会はやったことがあるけれど、ホールで単独は、今回が初めて。

結果、めちゃくちゃ大変だった。何度も投げ出したくなった。

でもやって良かった。

 

これまでは、紹介で知り合った比較的近い地域の、ほとんど交流のない、少し上の世代のピアノの先生方の合同発表会に混ぜてもらっていた。

生徒さんもまだ少なかったし、主催できるほどの教室の規模ではなかったから、声をかけてもらってものすごくありがたかった。 

でも、正直なところ、そこで一緒に発表会をやることをあまり楽しめなかった。

 

参加させてもらっているという感覚が強く、発表会自体に自分の意見や色合いを出すことができなかったから、主体的に取り組むことができなかった。

年上の知り合いということで、遠慮しがちな自分の性格も相まって意見を言えない関係ということもあった。

プログラム、記念品、花、写真、どれをとっても大満足ということはなく、例年通りの慣例に従って数年間同じことをやっているという感じだった。

自分だったらこうしたい、というようなものが所々あった。

 

一つの発表会を成功させるのは本当に大変なことは重々承知で、だからこそ、ちょっと顔を出す程度の自分が意見をいうことは憚られたし、そう思うとますます、主体性がなくなり、エキストラのような、アシスタントのような立ち位置に自分を置くことから抜け出せなかった。

 

参加させてもらうことだけでもありがたいのだけど、自分の思うように自由に発表会をやりたい、という思いがあった。

それが出発だった。

納得のいく自分の発表会だと胸を張れるものをやってみたかった。

 

意外とこだわりが強いのだろう。

場所をひとつとってもそこでやる理由が必要だった。関係のない地に行ってもらってということに少し引け目を感じていた。そうじゃない形でやりたい。

プログラムデザインも、もっと素敵なものにできないかしら。

ステージに飾る花は、これがベストなんだろうか?

惰性の会を、やりたくなかった。

生徒さんも本気で挑む発表会。

こちらも本気で取り組みたかった。

 それが主催したいと思った理由だ。

 

 

 

そして結果的に、めちゃくちゃに大変な思いをすることになってしまった。

コロナ禍ということもあって、やることが膨大だった。

どうして1人でやりたくなるのか。誰かと一緒にやったほうが仕事は少ないのに、1人でやりたくなる自分を何度も呪った。

1人で全ての責任を負うことになり、そのプレッシャーに潰されそうになった。何度も夜中に目覚めた。

何度も逃げ出したくなった。

なぜこんなに大変なことをわざわざやりたくなってしまったのだろう。発表会を前にして追い込まれているときは余裕がなくて考えられなかったが、終わったらゆっくり考えたいと思っていた。

 

 

そして終わって振り返ってみて思うのは、発表会はピアノの先生の自分にとっての一つの創作物だったということ。

ピアノの先生にとって、発表会は自分の世界観が現れる作品そのものだ。

ピアノ教室をどう捉えているのか。ピアノを演奏することをどう捉えているのか。生徒さんをどういう存在だと思っているのか。

その全てが現れるのがピアノの発表会だ。

 

だから、エキストラのような立場でいながら制作者として名前を連ねることに違和感があった。

せめて共同制作をするならば、よく知ったリスペクトする相手ならまだ可能だったかもしれない。

そこから抜け出して、細部にわたってこだわった納得のいく形でやりたいと思うのもまた自然な流れだった。

 

 

プレッシャーで落し潰されそうになるのも、これが作品を作ることであったなら、当然のことだったのかもしれない。

これくらいでいいだろう、がなくて、ギリギリまで追い込まれて作ったので、結果としては、満足が行くものができた。

プレッシャーもものすごかったけれど、生徒さんやご家族の笑顔を見て、達成感や満足感もひとしおだった。

2回目3回目と会を重ねて行くうちにもう少し慣れて気軽にできるものだろうか?と思ったけれど、もしかしたら同じような状況に自分自身を追い込みながら作っていくのかもしれない。

でもその過程を楽しめるようになりたい。

苦しいことをなるべく軽減して、楽しめる部分を増やして、自分の教室独自の発表会を作って行きたい。

 

そんな先を夢見る第一回の主催発表会。

辛かったけど、やって良かった。

 

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