正直ピアノの先生、長めにつぶやく。

ピアノ講師歴10年。教室ブログには書けない本音を長めにつぶやきます。

「生徒を伸ばす!ピアノ教材大研究 」〜ピアノ教材を効果的に使いこなすための10のヒント〜をご紹介

ピティナ(日本ピアノ指導者協会)の協力で、ヤマハミュージックメディアから出版されている2014年に出版されたもの。

 10人の現役のバリバリの多方面でご活躍されているピアノの先生方が使用している教本を中心にレッスンについて語っているこちらの本をご紹介!

生徒を伸ばす!  ピアノ教材大研究

生徒を伸ばす! ピアノ教材大研究

  • 発売日: 2014/01/28
  • メディア: 単行本
 

 

10人の先生方がそれぞれ違った視点でレッスンを展開しているのがわかり、とても面白い。

正解は1つではなく、何を大切にピアノのレッスンを展開していくか先生それぞれに答えがあるということがよくわかる。

 

私的なキーワードは、

  • 教本は使いよう。1冊をとことん突き詰める
  • 多彩な響きに触れられているか?
  • ロシアン・メソッド(タッチの多彩)
  • ポリフォニー
  • 作曲やアレンジなど「つくる」こと
  • 先生と生徒の対話
  • 柔軟性
  • 子どもだからと手を緩めずに、本格的なものを!

 

 

それぞれの先生ごとのポイントを見ていく

 

目次

 

 

千尋先生

作曲家の先生らしく、教材の響きや書法に注目されている。導入期から様々な響きを体験して欲しい、と。

アナリーゼも重視されていて、作曲家が意図したことを自分なりに推理して演奏に結びつけます。

私自身はある期間レッスンを続けていても、楽譜を読むことが苦手な生徒さんがいることに違和感を感じて、導入期では、「とにかく読んで弾けるようになる!」と躍起になっているが、

そうすると、色々な「響き」を演奏することから遠いところにいるなあと感じた。

読めることと、多彩な響きを体験することを、導入の時期から両方とも楽しめるようなことを取り入れたい。

 

丸山京子先生

教材研究家として、活躍されている先生。

1つの教材をじっくり研究して、自分の軸として持ちつつ、アレンジしていくことで豊かなレッスンになる。

 

斉藤浩子先生

生徒数500人のピアノ教室を運営されている斎藤先生。

以前セミナーを拝見して、そのレッスン方法に衝撃を受けてた憧れの先生の一人。

先生は「音楽的な自立」を最終目的にしていて、読譜力を早くから身につけるレッスンをされている。

教材を徹底して研究して使いこなすことで、導入期からブルクミュラーへ繋げる。

レッスンでは「MSC」を大切にしているという。

M・・・モチベーション
S・・・スキル
C・・・コミュニケーション

生徒さんもこれらを主軸に自ら学ぶ土壌が育っている。

 

 

安倍美穂先生

ご自分でも作曲をされる安倍先生は、生徒さんの対話を大切にして、生徒さんのためにアレンジをしたり、柔軟に対応される。

先生も曲を作る人となっていてレッスンが生き生きとした音楽の現場となっているのが感じられる。

 

▼安倍美穂先生が作曲された教材▼

 

 

根津栄子先生

根津先生もセミナーを拝見して、その細やかな指導が素晴らしく、感激した。

基礎的なテクニックを楽しく練習できるようにアレンジされた楽譜を出版されている。

バスティン で導入期を終えた生徒さんが、身につけるテクニックを導入期とのギャップを感じずにイメージを膨らませて楽しめる工夫が盛り込まれている。

イラストやタイトルから持ったイメージを、次第に楽譜や音から持てるようになる工夫が丁寧に扱われている。

ご自身は練習がお嫌いだったというお話も興味深い。

 

▼根津栄子先生の著書▼

NEW こどものスケール・アルペジオ

NEW こどものスケール・アルペジオ

  • 作者:根津 栄子
  • 発売日: 2019/09/26
  • メディア: 楽譜
 
NS39 チェルニー30番 30の小さな物語 上巻

NS39 チェルニー30番 30の小さな物語 上巻

  • 発売日: 2013/03/12
  • メディア: 楽譜
 
チェルニー30番 30の小さな物語 下巻 (NS40 )

チェルニー30番 30の小さな物語 下巻 (NS40 )

  • 発売日: 2013/06/07
  • メディア: 楽譜
 

 

 

松田紗依先生

ロシアン・メソッドを学び、日本でも受け入れやすいようにオリジナル教材を作られた先生。

一音一音を余計な力を入れずに歌わせて弾くために、タッチに先生が独自に名前をつけているという。

ざっと挙げてらっしゃるだけで11種類!

飲み込むタッチ、バターの中でタッチ、、、、など、面白いネーミング。

徹底的に音とタッチにこだわってレッスンされていらっしゃる。

また先生と生徒の関係づくりも重視されていて、「私とあなた」という関係を意識しているという。「作曲者の前に私たちは同等」という言葉を胸に刻みたい。

 

 ▼松田紗依先生が考案されたロシアンメソッドによる導入テキスト▼

 

 

江崎光世先生

小学校4年生までにピアノに関わるすべてを経験させてあげたい(!)という江崎先生は、連弾や2台ピアノだけでなく、弦楽器や管楽器、歌とのアンサンブルも経験することが重要だといい、アンサンブル普及活動をされている。

導入期では基礎をしっかり固めるという方針で、教本の一曲がマルになったら終わりという形ではなく、一冊すべて弾けるようになったら、最後に全ての曲を通して録音をするという(!)。

1人のレッスンは90分で、ソルフェージュは別枠。

内容の濃い充実したレッスンをされていることがわかる。生徒さんは恵まれた環境だなぁ。

 

 

石井なをみ先生

導入期からポリフォニーをあえてやることを提案されている。伴奏とメロディではなくて、対話するように両手に気を使うことを覚えて欲しいとして、バッハを勉強することを重視する。

アナリーゼをして楽譜を立体的にとらえ、自分で考えて弾けるようになること目指す。

 

秋山徹也先生

基礎で絶対に学ばなければならないものとして、対位法、ソナタ形式の曲を全楽章通して弾くこと、ショパンエチュードを挙げている。この3つは避けて通れない、と。

月1回3時間のソルフェージュでは1時間は理論(和声や対位法)、次の1時間は聴音、最後の1時間は歌、初見、リズム打ちなどを行う。

小さな子でも本格的な教材を使い勉強をして、演奏に結びつける。

 

 

糀場富美子先生

フランスのフォルマシオン・ミュジカルの考えを踏まえて、レッスンをされている。

音楽を学ぶ全ての方に作曲をすすめている。そのほか、写譜や編曲を通して、音楽を総合的に深く捉えることを主軸とされている。

 

 

 

 

心に留めておきたい言葉、勉強していく必要があることがいっぱいつまっている本だった。

 

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