正直ピアノの先生、長めにつぶやく。

ピアノ講師歴10年。教室ブログには書けない本音を長めにつぶやきます。

【計46冊】バスティン・メソッド、どれから手に取ったら良いの?!出版年代順に見てみる。

ピアノレッスンの現場ではかなり受け入れられているバスティン シリーズ。 

こちらの教本、日本で主教材とされているものだけでも46冊

多いよ。

アメリカでは、初心者から大人にいたるまで、幅広い層を対象に500種類以上に及ぶテキストを執筆しているとのこと。

 

なぜこんなに多いの?

そして、これをどうやって選んだらいいの?

これだけ教材が増えた理由を、出版された順を追って見てみる。

 

目次

 

 

バスティン・メソードについて

バスティンシリーズは1970年代にアメリカのジェーン&ジェームス・バスティン夫妻により、創始・開発された。

 

現在日本で子ども向けに出版されている主な教材は3つのシリーズに分かれている。

  • パーティーシリーズ(4歳〜)
  • ベーシックシリーズ(5歳、6歳、7歳〜)
  • オールインワンシリーズ(4歳〜)

はじめる年齢によって、使う教材が分けられている。

 

さらに、メインのテキストと合わせて、常に3〜4冊の併用テキストがある。(オールインワンシリーズを除く)

(カッコの中はテキストのタイトル)

  • メインテキスト(ピアノ)
  • 理論・楽典などのワーク(聴音・楽典、セオリー)
  • 曲集(パフォーマンス)
  • 練習曲集(テクニック)

3〜4冊を併用していくのも、冊数が増えている理由の1つ。

 

でも、パーティーシリーズとオールインワンシリーズは両方とも4歳からになっているし、、、どうやって選んだらいいのか、、、。

このように対象年齢から見ると重複しているが、バスティン メソッドは時代の変化に合わせて改良を続けて進化しているので微妙に中身が異なる。

 

改良のポイントは2つ。

 

  1. ピアノ学習者の低年齢化
  2. 現代の生活に合わせてより効率的に

 

順を追って見てみよう。

 

 

ピアノ・ベーシックス・シリーズ(1985)

まずはじめに出版されたのが、1985年に出版された「ピアノ・ベーシックス・シリーズ」。

レベル順に

  • プリマーこちらの導入部分にあたる「プリマー」がより低年齢に対応する形で、改良されてきます。
  • レベル1
  • レベル2
  • レベル3
  • レベル4

以上の5つのレベルがある。

 

 

 

 

まず、「プリマー」の一冊では難しいと感じられそうな小さな子どものために、「ヤングビギナー ピアノ」A・Bの2冊が出版される。

 

ヤングビギナー ピアノA・B(1992)

プリマーが出版された7年後、1992年にヤングビギナーA・Bが出版される。

アメリカでのタイトルは「piano for the young beginner」です。

日本で翻訳された当時は、「幼児のためのベーシックス」として出版された。

今では「ヤングビギナー」にタイトルが変更されている。

 

内容は「プリマー」とほとんど同じだが、より丁寧に、曲数が増えている。

訳者による巻頭の「練習をはじめる前に」によると4〜6歳児向けに作られている。

そして、こちらのシリーズが終わると、はじめに出版された「ベーシックス レベル1」に進む。

 

 

 

 

ピアノ パーティー A~D(1993)

ヤングビギナー出版から1年後、1993年に「ピアノパーティーシリーズが出版される。

内容は、ヤングビギナーをさらに詳細に丁寧に導入を行い、新たなメソッドとしての4つのレベル(A~D)に分けられている。

ヤングビギナーでは触れることのなかった調も扱い、より深く学習できる。

 

巻頭の著者の言葉によると、音楽に興味を持ちはじめたばかりの、「3歳以上の子どものために最適なメソード」だということ。

 

 

 

 

最も幼い年齢の子どものために作られているのがこのパーティーシリーズ。

バスティンのホームページには「4歳から」とされている。

パーティーの巻頭には著者の言葉として「3歳以上の子どもたち」とある。

具体的には、パーティーシリーズAの併用ワークである「聴音&楽典パーティーA」では、

右左がどちらの手かを問うものや、

数字の1〜5を判別できるか、

数字を書く練習などから始まる。

 

右左や数字を理解しはじめる頃の年齢に向けてのシリーズだとわかる。

 パーティーシリーズを終えたら、ヤングビギナーと同様に、「ベーシックシリーズ レベル1」に進む。

 

改良された背景

ここまで見てきた導入テキストが重ねて出版された背景には、ピアノをはじめる時期がどんどん早まってきたということが考えられる。

20年前は6歳ごろからはじめることが主流だったけれど、次第に低年齢化していき、3〜4歳ではじめる子どもにも対応できるように、と改良されたのだろう。

 

 

オールインワンシリーズ(2016)

さらに、このパーティーシリーズとベーシックシリーズを統合したオールインワンシリーズが2016年に出版される。

オールインワンはその名の通り、楽典やテクニック、曲集などの併用曲集がなく、一冊にまとまっている。

巻頭には「指導される先生 保護者の皆さまへ」というタイトルで著者の言葉がある。

 

バスティン ・オールインワンシリーズは、現代の忙しい学習者のために無理なく効率よく学べるように 新たに開発された教本です。

 

現代の子どもたちを取り巻く環境に合わせて、改良されたとということがわかる。

ピアノ以外にも習い事を多くやっていることや、働く親の自宅でのサポートが難しいことなどを考慮されて、無理なく学習できるように構成されている。

 

 

結局どれから手にとればいいの?

出版された年代と合わせて見ていくと、これだけたくさん出版された理由がスッキリする。

時代に対応して進化していくメソッドだということだ。

 

バスティン について知りたい方は、出版された順に見てみることをおすすめする。

個人的には、

ベーシックスシリーズは必須

次に小さい生徒さんに教える機会が多い場合はパーティーシリーズ

この2つを知ってからオールインワンシリーズを見てみるのがいいのではないかと思う。

ヤングビギナーは一番後回しでいいかも。

 

手にとって魅力を感じたら、諸先生方の指導法を勉強しにぜひセミナーへ・・・

とても緻密にできたメソッドで奥が深い。

 

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