自宅の教室ではなく、勤務している音楽教室でのこと。
2ヶ月の休校を経て6月にようやくレッスンを再開したのだけど、休校の間に教本は開かれず、好きな曲だけ弾いていた、という子の多いこと。
教本の曲は2ヶ月止まっていればそのままであるはずがなく、見事なまでに後退している。
すっかり忘れている!
それはそれは無残なありさま!
もう、目も当てられない!
聞いていられない。
そうなると、もともと風前の灯だった意欲はさらに削がれている。
意欲なく、つっかえつっかえ弾く生徒。
3月の日付が書かれた楽譜が虚しく譜面台に乗っている。
3ヶ月前に赤鉛筆で囲った部分を、そのままもう一度言う私。
これは、、、一体なんのための時間なのだ?
宙ぶらりんのその時間に、クラクラしてしまった。
こうなってしまったのは、もちろんピアノの先生である私のせいである。
絶対に。
私の指導不足だ。
ちなみに使っている教本は「オルガン●アノ」。
ピアノのレッスンを始めた頃に先輩に勧められた教本だ。
3年ほど前までは使っていたが、今ではほとんど使用していない。
この教本の良さはシンプルなところだと思う。
情報が盛りだくさんの教本に比べて、解説が少なくとてもシンプル。
こういう教本を使うときにこそ、教える側の力量が試されるのだとわかったのは最近のこと。
それに、これだけ音楽が自由に聞ける時代。
教本で曲に出会い、自分で奏でる音楽が新鮮だった頃に書かれた教本は、今の子にはしっくりこないのかもしれない。
教本を選ぶときに、教えるべき大切なことがわかっていれば、あとは曲の好みが大きく作用するのではないかと私は思っている。
大人の生徒さんなど、特に。
曲が魅力的かどうかというのはとても大きなファクター。
では、教本に今魅力を感じていない生徒さんにどうするか。
対処法その1:練習を見える化する
回数をこなすことで身につく類のものにはやはり効果がある。
それもわかりやすく、成果を見える化することがポイント。
練習した回数でマスが埋まっていく。
弾けた曲の数でマスが埋まっていく。
こんなに練習したんだ、こんなに弾けたんだ!とパッと目で見てわかるようにする。
対処法その2:ご褒美を用意する
古典的な手法だけれど、見える化の先に魅力的なご褒美があると、効果がある。
小さなぬいぐるみや、文房具を用意されている先生が多いようだ。
対処法その3:曲の魅力を伝える
どんな曲にも魅力はある。
楽譜からそれが読み取れていないだけかもしれない、と想定する。
いい音を鳴らすということができていない、と想定する。
先日のセミナーでも感じたように、2つ3つ音を鳴らすだけでも、魅力的な音というのはある。
いい音を鳴らして弾くと、どこまでもいい演奏はできる、ということを実際に聞かせながら、必死に全力で伝える!
対処法その4:教本を変える
それでもやる気が戻ってこない場合は、思い切って教本を変える。
曲の感じが違うものや、伴奏が付いているものに変えるのもいいかもしれない。
例えるなら、ヒップホップが好きな人が、一生懸命演歌の奏法を勉強しても苦しいだけ。
曲にはやはり好みがある。
来週のレッスンでは1から順にやってみよう。
うまくいくかしら。