目指しているものを統一すること〜反抗期女子から学ぶ〜
小学5年生の女子ともなると反抗期に片足を突っ込んでいて、難しい年頃。
レッスン中に指摘をすると、明らかに機嫌が悪くなり、逆ギレ状態で音がどんどん乱暴になっていくなんてことはよくある話。
いやいや、何週間もあらゆる臨時記号を落として弾いて、キレたいのはこっちだよ!見事な逆ギレっぷり!と笑いたくなってしまう。
そんな自我が爆発し始めた年頃になると、こちらの価値観を共有することの難しさを感じる。
「ここはこんな音で弾いたらきれいじゃない?」
「ここはこんなイメージで弾いてみては?」など柔らかく提案しても、良くてイヤイヤ弾く。悪いと完全無視状態。
おいおい。。。
そんな彼女をみていて、3歳から知っているから親のように気持ちで、成長を嬉しく思うと同時に、「ああ、こうなったらもうこれまでのやり方ではレッスンは進まないな」と感じる。
反抗期になる前に、大切なことは身につけさせてあげる必要があるのだなと思う。
私がピアノのレッスンを始めたばかりに入ってきた生徒さんで、手探りでレッスンをしていた。
きっと他の仕事で言えば研修期間のようの時期だったと思う。
拙い私のレッスンに、よく通ってくれたなと思う。
今から振り返ればいろんなことが足りていなかった。今もまだまだだけど。
今の彼女の演奏は、はっきり言ってリズムは不安定だし、指はスムーズに動いていないし、タッチは弱いし、音色は単調で貧弱か、きついかのどちらか。
さらによくする伸びしろはたくさんある。
でも彼女はピアノと音楽が好きで、好きな曲を好きなように弾くことを楽しんでいる。
好きなアニメの曲を楽しく弾くことができるのに、なぜつまらない教本の曲を先生のいう通りに弾かなければならないのか。
と言ったところだろう。
おい。
いや、気持ちはわかる。
年齢に適した指導法がある。
身体的、能力的にということだけではなく、精神的に適しているかどうかということも含まれる。
もっともっと早い段階で、先生が向いている音楽の方向を示して、基礎を身につける必要があったのだと思う。
例えば、粒が揃った音とか、響のある音色とか、心地よく刻まれるリズムとか。
それを聞き分ける基礎的な耳とか。
こういうことを、レッスンをはじめたばかりの段階で身につけていく必要がある。
そして同じ方向を向いて進んでいく。
それらを身につけた上で、ある時期に自分が好きな方向へ向かっていくのは大いに歓迎するが、まだそれが備わっていないのに、自我が爆発してしまって、聞くに絶えない演奏で満足しているように見える。
音楽の奥深さを探り始めてこそ楽しさが増すと思う私としては、とても勿体無いこと。
こうなると、自分の内側から「もっとよくしたい」と思わない限りさらに奥深いところまでは進めないだろう。
彼女のこれからのレッスンは「もっといい演奏をしたい」というモチベーションをいかにあげることを軸にしていく。
つまり、これまでの私の指導力不足ということに尽きるのだけど。
私がピアノで目指している方向を早い段階で共有することの大切さを身を持って学んだ。