ピアノの導入教本を分類する方法はたくさんある。
- どの音から始めるか?中央ドor高いドorその他
- どんな音符から始めるか?絵おんぷor数字or普通の音符
- 使う手は?両手or片手ずつ
- はじめて使う指は?1番から順番にor2か3の使いやすい指からorぐーモーション
- 歌詞がついているか?歌詞なしか
ざっと思いつくものでもこんなところだろうか。
今回池川礼子先生の「バスティン導入講座 」を受講して、もう1つ分類方法の視点があることを知ったのでまとめる。
目次
新しい分類方法の視点
それは、楽譜の読み方を「フレーズから入るか、一個一個の音から入るか」ということだ。
池川先生がおっしゃっていたところの、「あいうえお」を知る前に、日本語を喋ることができる、ということ。
音楽教室を例に「会話から入るか、文法から入るか」
音楽の学び方として、音符を読むことを文法と捉えて、聞くことや歌うことを会話、と捉えるような分類がある。
歌うことや聞くことで音楽を体感して、音符を読むことはそのあとに位置するような場合だ。
例えば、ヤ●ハ音楽教室の幼児科。
その音楽教室のテキストによれば、幼児科のレッスン内容の代表的な項目「レパートリー」として、
「きく→うたう→ひく→よむ」とあり、楽譜をよむことが一番最後に位置している。耳で聞き、歌うことにより、表現力を養った後、「読みたい」という気持ちになった時に楽譜を読む学習を始める。
音楽を言葉を覚えるプロセスと考えて、読むことを文字や文章と捉える。
楽譜を簡略化してより直感的な図形として捉えて弾く
バスティンの講座では、音楽という大きな枠ではなくさらに細かく「音符を見てピアノを弾く」ということを、会話から入るか、文法から入るか、と捉える視点をくれた。
バスティン は音符を見て弾く段階から、会話のように弾く。
その方法は、楽譜を簡略化することで、可能にする。
先ほど例に出した音楽教室のテキストでは、「楽譜をみてすぐに弾けるということは」という項目で、
「一個一個の音が読めるようになる→それをテンポの中で読める→読んだ音の鍵盤上の場所がわかり手を見なくても弾ける」
という段階が必要としている。
この1つ目の段階「一個一個の音が読めるようになる」ということを、バスティン ではさらに細分化し、一個一個の音符が持つ要素を「音の高さ」「音の名前」「鍵盤の位置」「音の長さ」と分けて、「音の高さ」と「鍵盤の位置」のみに集中することで、楽譜を簡略化している。
「音の高さ」ということも、音部記号を用いた絶対的な高さではなく、隣の音との高さの違いを上下で示すという部分のみ抽出し、一個一個の音を読める状態ではなくとも、隣の音符との上下の関係が分かれば、弾けるという状態から入る。
この方法により、「ド」と書いてあるから、「ド」の鍵盤を弾く、という風に、言語に置き換えれば、意味のある言葉を「アイウエオ」に分解して弾く状態ではなく、
早い段階から、意味のあるまとまり(フレーズ)として楽譜を見て弾くことができる。
というのも隣の音との関係で音符を読むので、自然に「一個一個の音」としてではなくまとまりとして捉えるようになる。
この方法は、江口寿子先生の「すくすく音楽スクール おんぷの学校」でも採用されており、そこでは「模様読み」と言われている。模様のように、図形のように楽譜全体で捉えて弾く。
↓図形読みタイプの教本↓
WP270J ピアノ パーティー A 対象年齢:3才以上 (バスティン・ピアノパーティー)
- 作者:ジェーン S. バスティン,リサ バスティン,ローリー バスティン
- 発売日: 2009/10/23
- メディア: 楽譜
「一個一個の音」を覚えてから弾く
一方、「ド」「レ」というように覚えた音符を1つずつ読んで、一音ずつ弾いていくのが、会話ではなく「アイウエオ」を覚えてから弾くような形だ。この「一個一個の音」タイプの教本は「オルガンピアノ」「ピアノドリーム」など。
音符の導入としては、「一個一個の音」の導入だが、音楽的に導入する方法はそれぞれ取られていて、多くの場合歌詞がついており、歌うことで音楽的なまとまりを感じる。
↓「一個一個の音」タイプの教本↓
まとめ
どちらから始めたとしても、次第に両方のアプローチができるようになることが必要だけれど、ピアノの事始めにどちらから入るのかというのは、音楽をどのように捉えるかということに繋がる。
音楽を音楽として捉えるならば、音符が読めないうちはピアノから離れるしかないという風に感じていたが、簡略化した図形による模様読みからであれば、ピアノに向かったその始めの一歩から音楽的であるということができる。