正直ピアノの先生、長めにつぶやく。

ピアノ講師歴10年。教室ブログには書けない本音を長めにつぶやきます。

10年のピアノの先生生活で、一番困った生徒さん対応とその反省。

レッスンを10年やってきて、トラブルというトラブルはなかったのだけど、1つだけとても苦労したことがある。

 

幼稚園年長さんの時に体験レッスンに来て、通い始めたとある生徒さん。

ピアノが好きで、家にあるキーボードなどで遊んでいたということで、おもちゃの絵本などをみて、音符は読めないけれど、色々な童謡を弾いて遊んでいた。

私はレッスンをはじめてまもない頃で、ピアノが好きな子が来てくれてとても嬉しかったのを覚えている。

 

 

しかし通い始めた当初から、遅刻や直前の欠席が多かった。

時間通りに来ることの方が少ないぐらいの印象だ。

まだその頃生徒さんも多くなく、時間はたっぷりあったので、振替の対応もできるだけした。

レッスンの方はというと、練習はしてこないのであまり進まない。

あれこれ思いつく工夫をしてみたものの、教本はなかなか進まない。

 

困ったなぁ、どうしたものか、と思っていたところ、お母様が二人目の妊娠出産の時期となり一旦やめて行かれた。

 

この時力不足を感じたものの、とてもホッとした。

生徒さんが練習してこないのも困るが、振替や遅刻が多いのも困る。

突然親戚の方を2人連れていらっしゃることもあって、????と思うことが多かった。

 

そしてしばらくして、生活が落ち着かれたのか、復帰された。

彼は小学校3年生になっていた。

練習はしないし、あまりいいレッスンができた気がしていなかったので、もしピアノを再開されるとしても他の教室を探されるのではないかと思っていたからとても意外だった。

戻ってこられて、嬉しさ半分、困った気持ち半分。

 

レッスンを再開されても、やはり同じ様子で、

 

やめる前に使っていた教本は捨てた。

遅刻、振替が多い。

練習してないから振り替えて欲しいとの依頼。

渡した発表会用の楽譜をなくす。

手ぶらでレッスンに来る。

 

正直とてもやりづらかった。

悩まされてばかりだった。

レッスンに通っているものの、練習をしてこないので進まない。

弾き合い会の時に自分だけ簡単な曲が嫌だったということで頑として席を立たず、弾かなかった。

 

そしてしばらくしてお母様からは
「やめたいと言っている。難しい曲を弾きたいと言っている。練習は面倒臭いと言っている。」というメールが届く。

確か年末。教室も休みで一息ついているところに届いたメールにすっかり疲弊してしまった。

 

難しい曲は練習しないと弾けない、

無理やり強要して続けることはない、

生徒と先生の相性もあるから他を探されては、

という返信をした。

 

結果、そのメールを機にやめた。
「他を探してみます。」

という返信のみで。

 

やめられてこんなにホッとしたことはない。

よかった。これで悩まされることもなくなる。

心底ホッとしたのを覚えている。

 

 

それから数年して、ひょんなことから、その方発信のうちの教室の悪評を聞く。

あぁぁ。なるほど。

 

どういう対応が正しかったのかよく考える。誠実な対応はできていたのかどうか。

誠意を欠いた対応ではなかったか。

これはどんなコミュニケーションでも当てはまることだと思うのだけど、

もっと1つ1つの行動を「困る」と伝えておけばよかったのでは、と感じている。

 

もちろん生徒さんには、なるべく遅刻しないようにしようね、次回は忘れ物に気をつけてね、などやんわりとは伝えていた。
しかし親御さんとしっかりと話すと言うことはしてこなかった。

 

振替は規定では月に1回までとしているから2回以上は困ります。

渡した楽譜はとても大切なものなので、失くさないようにしてください。

教本はレッスンでやったことなどを書き込むし、レッスンの課程が刻まれている大切なものなので、忘れずに持ってきてください。

捨てないでください。

 

これらのことをしっかり言葉で伝えたことがなかった。

私は当たり前だと思っていたけれど、伝えなければわからないことなのだ

少し融通をきかせれば、私が我慢すればいいか、と思って小さなことをやり過ごすのは、昔から私の性格でよくないところだ。

書きながら思ったけれど、私は自分が大切にしているもの、つまり生徒さんと音楽を共有するレッスンの時間や楽譜が大切に扱われないことに毎回傷ついていた

それらがないがしろにされるたびにダメージを受けていた。

 

けれど、そのことが自分にとって大切だと言うことを伝えていなかったことは私の落ち度。

コミュニケーションが一方通行だった。

ちゃんと伝えないといけない。

自分が大切にしていることは、当たり前と言わずにちゃんと言葉にして伝えていく。

されたら悲しいこと、困ることは、溜めずにその場で伝える

 

これがこの元生徒さんとの一件から学んだこと。

彼とお母様とご家族が、どこかで音楽を楽しんでくれていたらいいなと心から願っています。

 

空と風船

 

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